不登校の原因を探して、対処したくなってしまいますよね。
原因が分かればどうしたら良いのかわかると考えてしまう。
私も最初はそうでした。
でもその関わりが子どもが感じてきた衝撃や痛み、悲しさ、不安などにしっかり耳を傾けることを難しくしてしまっていたなと思っています。
子どもは学校に行かない選択をするまでにたくさんの葛藤をしています。
それでも学校に行かない選択をするということはその子の中でそのくらい大きな気持ちが在るということ。
それを無かったことにされたり、軽く扱われることで、自分がダメなんだとか、自分は弱いんだとか、自分は人と違うんだと感じてしまう。
それが自己信頼を減らしてしまうと感じています。
まず親が子どもの感じてきたことをありのまま受け止めることがとても大事だと思います。
親子の信頼、自己信頼がその後に大きく影響すると三兄弟の不登校から感じています。
一人ではない。
自分は自分で在っていい。
ここを信頼できるようにすることが何より大事だと思います。
まず共感的に聴くことでサバイバルモードを落ち着けよう
感情や情動の混乱が起きた時、脳は即座に闘争か逃走反応、または思考停止、フリーズになると言われています。
その状態では視野や思考が狭まり、適切な行動を取ることや感情を制御することも難しくなります。
『
こどものスモールトラウマのためにできること: 内面で何が起きているのか“>こどものスモールトラウマのためにできること: 内面で何が起きているのか』では脳の仕組みや子どもの脳の発達の段階、その時の子どもの言動の特徴などが詳しく書かれています。
こどものスモールトラウマのためにできること: 内面で何が起きているのか
子どもが学校に行けない時に親も同じようにサバイバルモードになっていると私は思っています。
経験したことが無いこと、どうしたら良いのかわからないこと、痛みや怖れが在ること、感情や情動の混乱で私たちは生存するために闘争か逃走反応などになる。
それは原始からの脳の仕組みで、未だに危険を察知するとこの生存本能のおかげで危険からサッと身を守ることができます。
その機能が在ることで守られるけれど、そのせいで咄嗟の反応しかできなくなっている。
まず子どもがその状態に居る可能性があることを理解し、子どもの脳、神経、身体が安心して、落ち着く関わりをすることがとても大事になります。
子どもが安心するためには笑顔や落ち着いて話しを聴くことがとても大事ですが、先ほど書いたように親もサバイバルモードになっているため、即座に問題を特定し、解決をはかることや子どもに登校を求めてしまうなど、子どもが安心して、落ち着くとは正反対のかかわりになってしまいやすい。
自分の言動もサバイバルモードから起きていることを知ることもとても大事だと思います。
共感的に聴かれることで、その子が体験から感じていることが見えてくる
何が問題なのかを探そうとして聞くのではなくて、学校に行くことが難しい体験や感情が在るんだねとその気持ちを認める聴き方をしていくことがとても大事だなと思います。
私は学校の何が問題なのか、子どものどこに問題が在るのかを探そうとして聞いていました。
そしてNVCやトラウマ、無意識などの本を読む中で、その人が体験からどういう認知なのかを聴いて、それをまず認めることがとても大事だと思うようになりました。
息子たちとの関わりでそれをしていくと、何が怖くて、それは何が必要なのか(NVCの感情とニーズ)などを話してくれるようになり、どんなやり方や内容ならできるのかを話していくことで三男は中学生になって、自分に合ったことで彼のペースで挑戦してきて、最近は主体的に考え、行動することが出てきました。
感じていること、考えていることを共感的に聴かれて、受容される体験は子どもの自己信頼を高めてくれると感じています。
それが挑戦や参加の力になると感じます。
反対に子どもの問題を探すような問いかけや関りは子どもの自己信頼を大きく傷つけてしまいます。
また親への信頼も減ってしまう。
そうすると親の言葉は危険なもの、聞きたくないものになってしまって、対話ができなくなってしまいます。
本来子どもが親に信頼され、愛されていると感じる関わりが重要で、傷や痛みを抱えていたり、混乱や困難な場面ではそれが更に重要になります。
親のサポートがとても大事な時期なんだと思います。
安心して子どもに関わるには親が自分の気持ちや願いに共感し、受容すること
子どものサポートが重要な場面ですが、先ほど書いたように親にもサポートが必要な時期でもあります。
子どもが通常のコースを外れてしまうのではないか
子どもが傷や痛みを感じていることをどうにかしたい
子どもを守りたい
たくさんの願いや気持ちを感じています。
それを抑圧して、良い関わりをしようとしても、それは不可能だなと感じています。
抑圧は暴発、心身の不調につながる可能性が高い。
また内側に在る気持ちは伝わっている。
私はNVCを息子たちとの対話のために学ぶ中で、自己共感、自己受容の大切さを痛感していきました。
NVCでは感情とその感情が伝えているニーズ(必要としているもの、満たしたいもの、大切にしたいこと、体験したいこと、願い)が在って、それを大切にして聞き合います。
私はNVCを学んだり、講座で共感的に聴かれる体験をして、自分の感情やニーズを知ることの力を感じるようになりました。
自分がどうしたいのか。
何を大切にしたいのか。
何がねがっているのか。
それを自分が理解し、共感し、受容すると先ほど書いたようなサバイバルモード状態から安心、落ち着き、自己信頼へと変わっていきます。
その状態から子どもの話しを聴くことがどれだけ力になるのかを息子たちとの関わりでも感じています。
私の気持ちや願いは在る。
でも子どもにも気持ちや願いが在る。
どっちの世界も蔑ろにしない。
それが他の人間関係でもすごく大事にしたいことだったと今は感じています。
どっちが正しいのか。
どちらの意見や感情を尊重するのか。
ではなくて、どっちも尊重して何ができるのか。
それを考えていけることは私が願っていた世界でもあるなと感じています。
そこから対話していくと子どもの安定感が増していくなと感じています。
そして今自分にできることを考えていくことや自分が何に怖がっていて、それはなぜなのかをじっくり眺めていくサポートにもなるなと思います。
問題があって、それを改善や直すという視点ではなくて、
子どもの中に在るものを理解し、共感し、受容したところから今の状態で何ができるのかを共に語り合い、アイデアを出し合っていく。
そこで子どもも自分の感情やニーズを知り、ニーズを叶える為に自分に何ができるのかを考え、挑戦する体験やプロセスをサポートできると思います。
不登校の息子たちの理解や関わりの参考になった本をまとめた記事を書いています。
不登校のことに留まらず、脳の仕組みや子どもの脳の発達と認知、心理的安全性などの本をおススメしています。
良かったらお読みください。
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不登校本おすすめ(①理解②自信や挑戦する勇気が増える関り③メンタルケア)【随時更新】
【参考文献】
『
こどものスモールトラウマのためにできること: 内面で何が起きているのか“>こどものスモールトラウマのためにできること: 内面で何が起きているのか』
こどものスモールトラウマのためにできること: 内面で何が起きているのか
『
「わかりあえない」を越える――目の前のつながりから、共に未来をつくるコミュニケーション・NVC (海士の風)“>「わかりあえない」を越える――目の前のつながりから、共に未来をつくるコミュニケーション・NVC』
「わかりあえない」を越える――目の前のつながりから、共に未来をつくるコミュニケーション・NVC (海士の風)
『“>NVC 非暴力コミュニケーションワークブック: 親と子どもが心でつながる「キリン語」の子育て』
NVC 非暴力コミュニケーションワークブック: 親と子どもが心でつながる「キリン語」の子育て
youtubeチャンネル『井上一樹ゼミチャンネル』で井上先生がNVCをとてもわかりやすく説明されています。
ぜひご覧になってみてください。
NVC JapanのサイトではNVCの感情とニーズのリストやニーズカード、共感サークルや講座なども情報があります。
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